2014年9月29日月曜日

子どもがごはんをおなかいっぱい食べられる日本を


 忘れられない光景があります。NHKの「クローズアップ現代」(9月25日)で子どもの貧困が取り上げられたときです。
 ごはんをおなかいっぱい食べたくても、貧困世帯であるため食べられない子ども。その体はやせ細っているようでした。NPOから援助を受ける母親は「お米をもらうことが一番助かる」と言いました。

  こうした貧困世帯における「食の貧困」はいま一部の問題にとどまりません。7月の厚生労働省の調査によれば、貧困ラインで暮らす子ども(17歳以下)の割合は6人に1人と、過去最悪の値となりました。
  子どもにとっては、成長に必要な栄養が取れないほどにまで食費が圧迫されているほか、友だちが普通に楽しんでいることに参加できず、孤立する状態なども生まれています。日本の将来に影響する問題の一つといっても過言ではありません。

  一方、この夏、安倍晋三首相は3日連続で肉料理店に足を運んだことで話題になりました。8月11日、東京・四谷の黒毛和牛の焼き肉店で、同12日、地元下関の宮崎地鶏の専門店で、同13日、下関のホルモン鍋の焼き肉店で、晩餐を楽しんだのです。
  同内閣は年末までに消費税を10%に引き上げることを決断する見通しです。再増税が貧富の格差を一段と広げることなど、旺盛な食欲がしっかり保障される首相にあっては眼中にないということでしょうか。

  NHKのさきの番組では地域の子ども向けの無料食堂で自信を取り戻す12歳のみきさん(仮名)も登場しました。みんなで食卓を囲むことの楽しさや、食事が人間の尊厳に結びつくことが感じられる場面でした。
  子どもがごはんをおなかいっぱい食べられる日本であって欲しいと、改めて強く思います。

2014年9月28日日曜日

長崎の魅力は「親切」


 今夏、長崎に旅行しました。
 グラバー園で観光客対象のアンケートに応じたさい、係の女性に逆に長崎の魅力を尋ねると、「親切なところですね」。
 名所や食べ物ではなかったのが意外でした。
 
 長崎市内の丸山界隈を散策していると、「観光ですか」との声。近くで商店を営む男性でした。丸山が花街として昭和30年代までにぎわったことや、往時の面影が残る史跡・路地を詳しく教えてくれました。

 雨が降るなか、丸山公園の近くで地図を手にキョロキョロしていると、こんどはバイクに乗った男性が車を止めて、「お困りですか」と声をかけてくれました。私の住む地域ではなかなか体験しないことです。

 原爆資料館でもボランティアの「平和ガイド」の女性から「館内を案内しましょうか」とのお誘いがありました。同ガイドの説明は丁寧でした。 
 そのなかで目をとめたのは投下された原爆(実物大の模型)の大きさ。想像以上に小さかったからです。逆に破壊力(長崎では昭和20年12月時、約7万人が死亡)のすさまじさを認識しました。

 滞在時間の限られた長崎ですが、冒頭の女性が紹介した魅力に相次いで遭遇し、印象に残る旅行になりました。

新聞セールスマンはJリーガー

 「継続のお願いで伺いました」
 インターフォンから新聞セールスマンの声が聞こえました。
 玄関を開けると、少し慣れない口調で、関心は何かのアンケートに協力をとのこと。「政治やスポーツ」と答えると、青年は自分がJリーグ3部のチームの選手だと語り始めました。

 驚きました。私の趣味の一つはサッカー観戦。目の前にJリーグの選手が立っているからです。
 練習時間や試合日を除いて新聞購読の契約活動に携わり、この日も練習を終えてから歩いているとのこと。大学卒業後、他の仕事に就いたが、子どものときから好きなサッカーに打ち込みようになったともいいます。

   サッカーの魅力はシュートやパスの卓越した技、試合を巧みに組み立てるチームプレーなどにあります。Jリーグとなれば、それらのレベルは一段と高いものが求められます。
 そのためには、うまずたゆまずの練習はもちろん、日頃からの身体のケアや栄養豊かな食事の摂取なども不可欠でしょう。アルバイトをしながら、そうした選手生活を続けるのは並大抵のことではないはずです。

   家計費の節約で、購読紙の整理も考えていましたが、青年の志を少しでも応援したくなり、継続に応じました。

  Jリーガーは28歳。日に焼けた顔が輝いて見えました。