2015年12月30日水曜日

寒風にふるえる高校生

 いま図書館には受験を控える若者らが大勢詰めかけています。思いっきり勉強するうえで弁当やサンドイッチを持参したいと考える若者らも少なくありません、教育・文化の拠点である図書館側もそうした利用者を応援しようと、例えば神奈川県座間市立図書館では持参した弁当を食べるコーナーが館内に設けられています。
 
 ところが同県の海老名市立中央図書館は持ち込みの食事を禁止。先日も同図書館のテラスで寒風にふるえながらおにぎりを食べる女子高生がいました。
 他方、同館内で広いスペースを占める「スターバックス」ではサンドイッチなどが売られ、館内で堂々と食されています。「市立」を冠する図書館でありながら、私企業の営利活動が優先されているのです。
 
 海老名の中央図書館はレンタル大手「ツタヤ」が市の指定管理者として運営し、「ツタヤ図書館」と称されています。開館した今秋、「不適切な本」の購入で話題になり、この27日も同図書館のホームページ上に写真や文書の無断転載があったとして、謝罪文を掲載しました。
 図書館運営の資質が問われるツタヤ。同時にそうした企業を管理者とした責任が問われる海老名市。せめて、両者の協定書で「市民サービスの向上」を約束している以上、高校生らを寒風にさらすのではなく、館内での食事も可とする血の通った措置が講じられるべきはありませんか。(写真=海老名市立中央図書館のテラス)

2015年12月27日日曜日

だれもが幸せな新年を 「お飾りづくり」に挑戦


正月に家の玄関に飾る「お飾り」を手作りでと、県公園協会の行事に参加しました。昨年に続く挑戦です。
 わらをより合わせるのは難儀でしたが、地元の方に教えてもらいながら2時間格闘。平和でだれもが幸せな新年であってほしいと願いながら、仕上げました。(写真)

2015年12月20日日曜日

自己ベストに挑む―学習支援教室から

 「やったぁ、自己ベストだ」
 小学校の放課後の学習支援教室で、5年生のS君が笑顔で声を上げました。
 今秋から取り組む「掛け算の百マス計算」。九九を百のマスに埋め、正誤とともに時間を問う学習です。支援教室では他の子との競争ではなく、自分の記録への挑戦と位置づけています。

 2年生で習う掛け算は算数のさまざまな学習の基礎ですが、どの子も完璧にマスターしているとは言いきれないのが現状です。
 このなかで「百マス計算」はゲーム的要素もあるのか、進んで取り組む子どもが徐々に増加。継続することで、計算力はもとより集中力や自発性を育む一助になっているように見えます。

 宿題などを終えたのち、自分から「百マスやります」と切り出すS君。開始前は鉛筆をチェックし、椅子に座る姿勢を正すようになりました。支援員の「用意」の声で集中を高め、「スタート」で鉛筆を一心に走らせます。
 8の段や9の段などでは当初、言いづらいせいか、「掛け直し」(例えば9×7を7×9に)を行っていましたが、いまでは時間にロスが生じるとして、段そのもので覚えています。3カ月が経過した現在、やり遂げる時間は約1分短縮。満点も続いています。

 学習に興味を持ったときの子どもの成長に、改めて驚かされています。

2015年12月12日土曜日

燃えるモミジ

昼、近くの公園を久しぶりに歩きました。
 木々の落葉で、林のなかから見上げる空が広く見えるとともに、林の先もよく見えます。冬なんだなあと感じ入る一瞬です。
 でも、気温は16度。快晴。急ぎ足で歩くと、汗ばむほどです。
 モミジが数本あり、鮮やかな紅葉で木全体が包まれようとしていました(写真)。

2015年12月6日日曜日

歌のある介護の職場

 Kさんは、介護の施設に週一度足を運びます。
 施設は特別養護ホームで、入所者全員が認知症です。
 Kさんの仕事は洗濯。入所者の入浴時のタオルや寝具の洗濯、たたみ、仕分けと続きます。階段を昇ったり降りたりもあり、仕事を終える夕刻には体の疲労も最高度に。
 でもKさんは心地よさも覚えるといいます。「少しは役立っているのかな」と思えるほか、入所者を直接介護する職員の努力に接するからです。
 
 職員は入所者への優しい声かけを怠りません。食事を入所者の口に運ぶさいは「少しずつでいいんですよ」。入浴後は「きれいになりましたね」。入所者と歌を歌いながら廊下を歩く姿も見受けられます。通底しているのは人間の尊厳を重んじる姿勢です。
 
 同施設も最適の労働環境とは言い難いものがあります。早朝勤務の開始時間は7時。いまの季節であれば職員は夜明けの街を白い息を弾ませながらやってきます。夜勤(22時~翌8時)も月に平均4回あります。
 
 Kさんと職員の尽力、献身に頭が下がるとともに、「歌のある介護の職場って、いいなぁ」と思いました。(写真=朝の青空)

2015年11月30日月曜日

米カレンダーに寄せて いのち・平和守る躍動的な日々を

 ことしも富山和子さんの「日本の米カレンダー」2016年版が家にやってきました。新しい年が近いことを改めて知ります。
 同カレンダーの魅力は、なによりも日本の風景や景観の美しさに、茶の間から一年を通して接することができることです。まだ訪れたことのない地域の魅力に、「おっ」とひき込まれるのです。16年版4月の宮城県大河原町の「一目千本桜と韮神堰」(写真)もその一つ。白石川の清れつな流れ、流域で咲き誇る桜並木、雪を抱く蔵王連峰が一度に目に飛び込んできます。白、青、うすもも、緑という自然の鮮やかな色彩に心が洗われるようです。
 富山さんが生活者に寄り添い、その苦労や気概を丁寧に紹介していることもカレンダーの魅力です。5月号の静岡県小山町の「吉ヶ島の棚田」では、難しい地形での米作りの苦労を農家に尋ねるとともに、「跡継ぎはいます」との答えも引き出しています。危機に瀕すると言われる日本農業で、その展望を切り開く草の根の健闘に心強さを覚えるシーンです。
 米カレンダーは27年目を迎えます。長期に及ぶ編集のキーワードは、ひとえにいのち、戦争体験だと富山さんはいいます。日本列島の山々は第二次大戦により最も荒廃し、戦後しばらくは大渇水や大水害の連続だったから、けっして繰り返してはならないと。従って、「原発再稼動もいわんや戦争法案など話にもなりません」と断じます。
 来年も、いのちや平和をしっかり守る躍動的な日々を送ろう。背中をそう押してくれるカレンダーです。
 問い合わせ先 国際カレンダー株式会社 〒101-0024 東京都千代田区神田和泉町1-5-5-3F 電話03(5829)4100、FAX03(5829)4103

2015年11月29日日曜日

深秋の食卓に届いた里芋

 知人から里芋が送られてきました。
 里芋は以前、こりっと硬かったりして、あまり印象に残る食材ではありませんでした。でも近所の直売所の里芋は、ほくほくしていて、いまでは収穫期の秋口が待ち遠しくなっています。
 子孫繁栄を象徴する縁起物で、中秋の名月の団子は、昔、里芋を供えていた名残りだといいます。種類も二百種と豊富です。
 いただいた里芋は、ストレートに素材を味わうため、煮っころがしに。茶色の皮をむくと、硬く、普段の里芋と違っていました。
 同じくいただいたゆずを添えると、色合いもよくなりました(写真)。食すと、きめが細かく、もちもちした口当たり。粘りもあります。 
 深まる秋、上質な里芋に出会い、食卓での会話も弾みました。

2015年11月17日火曜日

義兄の大根

故郷の姉から野菜が届きました。
 添えられた一筆に、「Mさん(義兄の愛称)が最後に植えていった大根と人参です。小さいですが食べてください」とありました。
 今夏病死した義兄。誠実でだれにも優しい人柄でした。町内会の総務的な仕事も進んで引き受けていました。
 大根は切っておでんの具に(写真)。大変みずみずしく、故郷の大地を思い出させてくれました。

2015年11月8日日曜日

鯖(さば)寿司 旬の贅沢

 近所の魚屋は、隣町の魚市場支店から毎朝仕入れる新鮮な魚貝類が売り物です。昼頃出向くと、店頭に鯖(さば)寿司がありました。自家製だといいます。
 秋に入ると、うまみも脂も乗って、ぐんぐんおいしくなるという鯖。若い店主の「人気がありますよ」との口上を受けて買い求めると、昔ながらの白い紙に包んでくれました。
 夕食時、付いていた粉わさびを溶きます。厚みのある鯖の肉質は引き締まるとともに柔らかさも。塩加減はすし飯と合わせて絶妙です。家人も「上品で美味しい」との評。 
 きっと魚屋が親子で仕上げた一品でしょう。手頃な値段とともに申し分なしの味ということで、★三つ。


2015年11月3日火曜日

気持ちの良い深呼吸

 朝、ゴミを出しに外に出ると、「オッ、暖かい」。正午の気温が11度と寒い一日になった昨日とは大違いです。
 祝日(文化の日)で車も少ないだろうと、早速、散歩に。
 近所の家の庭には食べごろと思える柿がいくつも実っています。寺の境内では釣鐘の横から朝日が昇っています。当地の日の出はいま6時5分です。
 小さな林のなかに足を運ぶと、桜の葉に夜半に降った雨の露が残り、踏む土は腐葉土でふかふかしています。
 思いっきり深呼吸。清々しい、気持ちの良い空気に満たされました。

2015年11月1日日曜日

磨かれたプレーと復興支援

キャプテンを外されても
 やったー。やはり頑張り続けるならば報われると思いました。
 サッカーのナビスコ杯決勝(10月31日)で鹿島アントラーズが優勝。キャプテンの小笠原満男選手が最優秀選手に選ばれました。
 36歳での受賞は、大会史上最年長の記録で、自身13年ぶり二度目です。日本代表から離れて久しい選手であるほか、今シーズンの前半はキャプテンを外され、途中交代という“苦難”もありました。よく腐らなかったなと思います。

両手両膝をついて
 小笠原選手のプレーの特徴や魅力とは。チームが積極的に行くところと抑えるときの緩急を自在につくり出すこと、体を張るとともにファウルにならない形で相手の攻撃を封じ込めること、前線へのパスが鋭く正確であること、劣勢であっても最後まであきらめないことなど、いくつもあります。
 「36歳は若くないけど、以前よりできることは多くなった」と自己を分析します。数々の経験を生かした、磨かれた技が繰り出されているのです。決勝戦でも相手の盲点を見抜いたコーナーキックは、最初の得点と怒涛の展開に結びつきました。
 
 意欲的な選手生活の源になっているのが、東日本大震災被災地の復興支援を粘り強く続けていることです。被災地に造成したサッカーグランドでは、子どもが参加する大会が開かれています。被災地の子どもを招待した試合で負け、両手両膝をついて謝ったこともあります。
 とことん力を尽くすプレーとチームへの献身、そして人間的な豊かさも。感動を覚え、刺激を受けないわけにはいきません。

2015年10月27日火曜日

キライだったけど

 放課後の学習支援教室に、6年女子のSさんが初めてやってきました。テストの結果を見た母親から教室に行くように言われたといいます。
 取り出したのは算数の宿題。テーマは「速さの表し方」です。
 「算数は好き?」と尋ねると、「キライ」
 宿題が終わったところで、事前に準備していた動物「キリン、シマウマ、ダチョウ、チータ」の速さくらべの表(写真)を見せました。下手ながら書いた動物のカットとともに、少し興味がわいた様子です。
 
どっちかなぁ
 「キリンとシマウマはどちらが速いと思う?」 
 「シマウマ」
 「どうして?」
 「走った時間が同じ40秒で、進んだ距離はシマウマのほうが長いから」
 「そうだね。次にシマウマとダチョウとではどっちが速い?」
 「ダチョウ」
 「どうして?」
 「進んだ距離が同じで、走った時間はダチョウのほうが短いから」
 「いいね。ダチョウとチータとでは?」
 「どっちかなぁ」
 
秒速の”発見”
 「何かを出すと、はっきり比べられるんだけど」
 「秒速?」
 「そうそう。授業で習ったよね。1秒間あたりに進む距離で表した秒速をそれぞれ出すと比べられる。やってみよう」
 ダチョウの秒速は、665÷25=26.6(㍍)
 チータの秒速は、217÷7=31(㍍)
 「比べると、どっちが速い?」
 「チータだ」
 「うん。何㍍速い?」
 「約4㍍」
 「そうだね。じゃ、キリンとシマウマの秒速は?」
 キリンは、620÷40=15.5(㍍)
 シマウマは、665÷40=16.625(㍍)
 「4つの動物を速い順番に並べると?」
 「チータ、ダチョウ、シマウマ、キリン」

「こんど教室は」
 「いいね。じゃ、おまけに聞くよ。チータと人間とはどっちが速いと思う?」
 「それはチータだと思う」
 「本当かな。人間の速さを出さなくちゃ。オリンピックの100㍍競争で走る時間が10秒だとすると、その秒速は?」
 「100㍍÷10秒で、答えは10㍍かな」
 「そうだね。チータは人間より何倍速い?」
 「約3倍」
 「できた、できた。きょうのような勉強なら、算数に興味が持てそう?」
 「うん。こんど教室はいつですか」
 Sさんの表情が柔らかでした。(参考・遠山啓著「算数の探検 第四巻)

2015年10月25日日曜日

ラッカセイ効果

 近所の知人からラッカセイ(落花生)をいただきました(写真)。収穫したての旬の味です。「この地域でも採れるんだ」と思いながら口に運ぶと、風味が良く、甘みが広がりました。
 落花生の名前は、花が受粉して地面に落ち、地中で実を付けることから付けられたといいます。
 注目したいのは、栄養価が高いこと。多く含まれる「レシチン」という成分は脳の神経細胞の働きを活性化させるといわれています(「食べもの通信」11月号)。
 そのおかげか、昨日のカレーライスづくりは手際よく進み、「美味しい」との評価を得ました。

2015年10月23日金曜日

隣り合わせの海老名と座間の図書館 選書に大きな違い

市民の要望に沿う選書 座間 
 日が沈むのが早くなった秋の夕刻。神奈川県座間市立図書館の明かりが柔らかく輝いています(写真)。玄関を入ると、正面受付のカウンターで男性の職員が「こんばんは」と迎えてくれました。
 用件はリクエストしていた本の受け取り。同舘では新着図書の半年分を公式サイトで検索できます。それを見て未購入の新刊本をリクエストすると、「最初の読者」になるケースも。選書の方針に、「利用者のリクエストを優先」が貫かれているからです。
 今回も手にしたのは安保法制関係の新刊本でした。まっさらのページをめくるとき、「読みたい」との動機が適えられたことの充足感や、“知の発見”の喜びを覚えます。
 少し時間があったので雑誌コーナーへ。週刊誌、文芸誌、旅行雑誌、女性誌、スポーツ誌など定期的に発行される200冊余が並び、多くの市民が利用しています。今回、手に取ったのは、政治や経済などの動向を描く総合情報誌。書店では販売されていない、自宅郵送制の少し高額な雑誌であるため、図書館で閲覧できることは経済的にも助かります。

偏る選書 海老名
 一方、吹き抜けがあり、ジャズも流れる神奈川県海老名市立図書館。レンタルのツタヤが運営し、最近、不適切な本の購入でも話題になりました。筆者も公式サイトで新着図書の最近二カ月分を検索しました。
 驚きました。同館のジャンルで旅行78冊、料理79冊に対して、法律が4冊であったほか、政治・国際1冊、社会1冊、教育1冊にとどまっていたからです。国政の焦点、安保法制の関連本はこの間相次いで発行されていますが、前述の分類では一冊も購入されていないのです。選書に“偏り”や“不均衡”があることは否めない事実でしょう。
 加えて雑誌コーナーに並ぶ冊子は、旧市立図書館の168冊から4分の1の約40冊に激減。「雑誌は館内のツタヤ書店の雑誌を利用できる」(海老名市教委の担当者)と説明されていますが、同書店に並ぶ雑誌は限られているため、読むことのできなくなった雑誌がいくつもあります。
 
地域の文化力や教育力に影響
 図書館の大事な役割の一つに、国民の基本的人権の一つである「知る自由」の保障があります(日本図書館協会「図書館の自由に関する宣言」)。同権利の保障が図書館により差があるとなれば、地域の文化力や教育力に抜き差しならぬ影響を与えるというものです。
 海老名と座間は人口がほぼ同規模で、隣り合わせのまち。海老名市立図書館の選書をはじめとするあり方について、その検証が改めて求められています。

2015年10月13日火曜日

海老名「ツタヤ」問題で市民が市教委と交渉  避難訓練は緊急課題 

 神奈川県海老名市立図書館の運営について「海老名市政を考える会(笹川忠夫会長)は13日、市教育委員会と話し合いを行いました。
 同図書館は2014年度から5年間、レンタルのツタヤを展開する会社と組んで運営。海老名市からツタヤに指定管理料として約16億円が支払われます。しかし、改装オープン後、蔵書の不適切な購入に加えて、さまざまな不安や批判が市民から出されています。
 この日も、4階の幼児・児童向けフロアについて、避難訓練がまだ実施されていないことが参加者から明らかにされました。市とツタヤ側が交わした「業務仕様書」では避難訓練の実施が規定されており、「首都直下型地震や東海地震はいつ起きても不思議でない。大惨事を招かないためにも避難訓練は至急行われるべきだ」との訴えがありました。
 海老名「ツタヤ」図書館では、定期的に購入する雑誌が大幅に減るという問題も起きています。旧図書館では購入雑誌が158冊を数えていましたが、「ツタヤ」化後、文芸・健康・教育・スポーツなどの雑誌が軒並みカット。購入雑誌は以前の4分の1、約40冊まで後退しています。館内のツタヤ書店の雑誌(販売用)を見ることができるとの市教委の説明に、参加者は「それらの雑誌は借りることができない。図書館としてのバックナンバーもなくなる」と指摘。利用者が多い雑誌コーナーはサービスを拡充すべきだと訴えられました。
 また、図書館を利用することが困難な障害者等に対しては、ノーマライゼーション(障害のある人も、ない人と同様の生活ができるように支援する考え方)の一環として、図書宅配を無償実施することが「業務仕様書」で確認されています。ところが利用者に配布される海老名「ツタヤ」図書館の案内リーフには、無償との説明がいっさい記載されていません。リーフの改定を求める参加者に、市教委側は「ご意見を受け止める」と答えざるを得ませんでした。

2015年10月9日金曜日

海老名「ツタヤ図書館」への政策的提言

心配していたことが明らかに
  吹き抜けが広がるとともに、コーヒーの香りがただよい、軽やかな音楽が流れています。一見、大型のカフェや書店の雰囲気です。
  10月1日、リニューアルオ-プンした神奈川県の海老名市立図書館(写真)。市教育委員会の担当者は渋い顔ですが、マスコミから「ツタヤ図書館」と称されています。市民の税金11億円をかけて改修されたものの、管理・運営がレンタル大手・ツタヤを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)などに市の「指定管理者」として委託されています。
風俗店案内の本も 
 海老名市立図書館の「ツタヤ図書館」化に対しては市民の中からいくつも心配の声が上がっていました。CCCが運営に関わる佐賀県武雄市の図書館で、CCCと出資関係のあった古本業者から中古本を蔵書として購入していたこともその一つです。
 海老名市民の懸念は的中しました。「ツタヤ図書館」のオープン前、「すべて新刊」として購入した約7千冊の本のなかに、古い雑誌や廃刊本も含まれていたことが市議会で発覚。伊藤文康教育長は「騒動になり、申し訳ない」(「読売」9月19日付)と陳謝せざるを得ませんでした。そのごも蔵書に海外の風俗店を案内する不適切な本が含まれていたことが判明。市教委は10月7日、これらの本を書棚から撤去することを決めました。武雄に続いて海老名でも選書の不透明さが浮き彫りになっているのです。
  公立図書館は本来、「国民の教育と文化の発展に寄与する」(図書館法第一条)ことを目的としています。学校教育や家庭教育の向上も援助し、市民にとっては「夢のある施設」といっても過言ではないでしょう。海老名の図書館がこうした目的に向かって運営されることを切望し、当面する課題を考えてみたいと思います。

1、図書選定を抜本的に見直す「選書委員会」に
  CCCの役員は武雄での不適切な選書について、「武雄市のときは、ど素人だった」(「朝日」10月9日付)と弁明しています。しかし公立図書館の運営に”ど素人”が乗り出すこと自体、見識が疑われ、責任が問われるというものでしょう。
  くわえて、海老名でも重ねた不適切な選書にその言い訳は通用しません。海老名の「ツタヤ図書館」の館長や少なくないスタッフは、武雄市図書館に勤務後、海老名に“移住”してきたからです。
 「ツタヤ図書館」の選書には抜本的な見直しが必要です。海老名市教委は近く指定管理者らを交えた選書委員会を設置する(神奈川新聞10月6日付)と言われていますが、抜本的な見直しを可能とする選書委員会の構成と実践が強く求められているのです。
市民のリクエストを柱に
 海老名の図書館はこれまで、市民から「新刊本は予約してもなかなか購入してもらえない」との声が上がっていました。他方、隣町の座間市(人口は海老名市とほぼ同規模の13万人)の市立図書館は、利用者から「予約すると、ほとんど応えてもらえる図書館」との好評を得ています。市民一人当たりの年間貸出冊数も海老名の4.5冊に対して、座間は7.7冊と、大きく上回っています。
 海老名、座間それぞれの選書に対する市民の評価の違いはどこから生まれているのか。考えられる大きな要因の一つは、海老名は選書がこれまでも民間業者に委託されていたのに対して、座間は選書が市職員である館長の責任のもと、市立図書館の独自の業務として自律的に行われていること、および選書の基準が座間では「利用者の予約(リクエスト)を極力優先する」(同図書館)が貫かれていることです。図書購入費(年額)は、海老名の約2000万円に対して、座間は約1600万円です。
 海老名の「ツタヤ図書館」は選書に際し、利益優先ではなく、市の基準が示す「市民の要望を考慮する」を文字通り確立するかどうか、厳しく問われています。

2、市民に親しまれ、災害時の避難も考慮した図書館へ
①幼児・児童フロアでの避難訓練は緊急課題
 海老名の「ツタヤ図書館」は、“一等地”である1階の大部分がツタヤ書店やコーヒーのチェーン店・スターバックスで占められています。結果、旧図書館の一階にあった幼児・児童向けの図書は4階へ。開館直後の日曜日、4階の同コーナーは親子づれで満杯状態になり、入場が制限されました。
 4階から下に降りる階段は一カ所のみです。非常階段はありますが、同階段に出るドアは施錠されているうえ、「4階の非常階段を使う避難訓練はまだ行っていない」(同図書館司書)と説明されています。
 首都直下型の地震はいつ起きても不思議はありません。「ツタヤ図書館」での幼児・児童を対象とする避難訓練は緊急課題です。
②利用の多い雑誌コーナーの拡充を
 各地の図書館で雑誌コーナーは利用の多いコーナーの一つです。旧海老名市立図書館でもゆったりとしたスペースが確保され、多くの利用者が訪れていました。ところが「ツタヤ図書館」の同コーナーは、「ビジネス」の案内板がかけられた部屋の狭い一角にあります。旧図書館で継続して購入された週刊誌の「サンデー毎日」「AERA」「ニューズウィーク」、スポーツ関係の「ナンバー」「ベースボールマガジン」、裁縫関係の「すてきにハンドメイド」などの購入はストップ。継続して定期購入する雑誌のなかに、スポーツ・健康・教育関係や女性誌などは皆無に近い状況です。これは、「雑誌コーナーにない冊子は館内のツタヤ書店で購入か発注を」との方針によるものでしょうか。
 今日、格差と貧困が広がるなか、家庭の図書購入費は縮小しています。「市民に役立つ」という公立図書館の役割はいっそう求められています。
③身体が不自由な人への宅配を無料に
 座間の図書館には、身体が不自由で図書館に来ることができない市民の自宅に本を無料で届けて、返却してもらう宅配制度があり、喜ばれています。こうした地域に根差す無料の宅配制度は最近、茅ヶ崎市立図書館でも企業とタイアップして開始されました。しかし海老名の図書館は宅配制度がありますが、有料のため、借りて返すさい、合計で千円かかります。
 高齢化社会を迎えるいま、気軽に利用できる宅配制度への期待は極めて高いものがあります。
④もっと利用しやすい館内に
 海老名の「ツタヤ図書館」には、書架と書架の間隔が狭いうえイスも置かれているため、車イスの障害者がほとんど通れないフロアがあります。
 CDコーナーは、「ジャンル別に置いている」(スタッフ)との説明ですが、アイウエオ順ではないため、CDを一枚選ぶ際もいくつもチェックしなければなりません。「邦楽あ」の表示の個所では、すぐ横にあるのは天童(てんどう)よしみのCDで、新垣(あらがき)勉はそれから約40枚後ろに置かれているという未整理状態です。
 朝日新聞の縮刷版は、1階と3階に分散(「スペースの関係で」〈スタッフ〉)しているうえ、1階の縮刷版は大人でもすぐ手が届かない上段にあります。
 郷土資料(海老名の郷土史や教育史など)はカギ付きのガラス書棚に納められています。利用する際はその都度、係員に開錠してもらわなければなりません。

3、「市民懇談会」開き、よりよい方向の探究を
 いま海老名市民のなかには、今回の図書選定をめぐる疑惑やこんごの図書館運営のあり方をめぐり、多くの疑問や意見が生まれています。また、全国2例目の「ツタヤ図書館」は全国的にも注目されています。よりよい方向を市民も参加して探究するために、市当局・館側と市民とが率直に話し合う「懇談会」の開催を呼びかけます。

4、図書館協議会の復活を
 海老名の「ツタヤ図書館」には現在、図書館法にもとづく図書館協議会が設置されていません。かつての市立図書館には設置されていましたが、「平成22、3年頃、廃止された」(市教委担当者)といいます。また、図書館運営の長期的ビジョンなどを示す「サービス計画」もありません。
 同協議会は図書館法によれば、図書館の行う図書館奉仕について館長に対して意見を述べる機関とされています。図書館の事業や運営が館側の意向だけではなく、市民の声も反映した形で行なわれることを、法的に保障する制度の一つです。
知る権利をもつ市民
 鎌倉市立図書館の図書館協議会は、学校教育の関係者、有識者、公募の市民で構成し、会議の議事録も作成されています。座間市の図書館協議会は、学識経験者、小中学校校長会、おはなし会、公民館運営審議会などの関係者6人で構成(任期2年。年4回ほど開催)し、市民の傍聴も可能です。
 海老名でも同協議会復活の声を広げ、設置のための市条例を制定しましょう。地域の教育と文化の発展に寄与する図書館を、知る権利をもつ市民の力でつくろうではありませんか。

 [参考]座間市立図書館は、「図書館の自由に関する宣言」(1954年に採択され日本図書館協会の綱領)を掲示しています。同宣言には、図書館が国民を特定の思想に導く機関として機能した戦前の歴史への反省が盛り込まれています。
 「図書館は基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することを、もっとも重要な任務とする。この任務を果たすために、図書館は次のことを確認し実践する。
 第1 図書館は資料収集の自由を有する。
 第2 図書館は資料提供の自由を有する。
 第3 図書館は利用者の秘密を守る。
 第4 図書館はすべての検閲に反対する。
 図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまでも自由を守る」

2015年9月19日土曜日

鉄柵と国民のエネルギー

国会正門前へ
 昨日(18日)、国会前に着いたのは日没前の夕方5時過ぎでした。桜田門側から国会正門前へ。歩道の右側には各種団体の旗が林立しています。正門前少し左手前の木陰にスペースを見つけ、足を止めました。
 自宅を出る直前、安倍晋三首相に対する問責決議案が否決され、安保法案が採決・成立する見込みとのニュースが流れていました。でも負けないと、国会前へ地域の知人と出かけたのです。
 
鉄柵を間に 
 歩道と車道とは警察の鉄柵でさえぎられていました。鉄柵のすぐ後には警察官が横一列に配置されています。さらに車道の中央部側にも鉄柵と警官が並び、その後に蒲鉾型の装甲車が隙間なく置かれています。仮に中央の車道にたどり着こうとすると、5重の“壁”を乗り越えなければなりません。
 「柵にさわるな」。身体を楽にしようと鉄柵に寄りかかる70代の男性に、警官が威圧を加えました。「柵を乗り越えようなんて考えていませんよ」。毅然と告げる男性。背中を押す警官。しかし男性は動じません。他の参加者も鉄柵を間に若い警官に、「仕事とはいえ、大変だね」と話しかけています。
 
解放された車道
 6時30分、集会が始まりました。続々と詰めかける参加者。埋まる歩道。参加者を車道に出さないようにと、警官は歩道側の鉄柵を中腰で支え続けています。
 すると、歩道横の車道の後方から、参加者が次々にやってくるではありませんか。歩道側の私たちに手を振っています。警官は歩道側の鉄柵を支える必要がなくなったのです。間もなくして退去していきました。
 そのご歩道側の参加者は鉄柵を乗り越え、車道に出ました。木に隠れていた国会が正面によく見えます。広がる解放感。「主権者は私たち国民だ」と改めて思います。そして瞬く間に車道は装甲車近くまで、参加者でぎっしり埋まりました。
 車道の一部開放は、押し寄せる参加者の波を前に、警備側が不測の事態を避けるためにとらざるをえなかった策かもしれません。同時に歩道側に鉄柵と警官を配置したことは、参加者の昨日の規模が想定外であったことをも示しているのではないでしょうか。 
 「憲法違反の安保法案。廃止まで闘う」。こう決意する国民は、安倍政権の思惑を超えて確実に広がっています。(写真=国会正門前、中央の白い建物が国会議事堂。9月18日午後7時34分)

2015年9月15日火曜日

がんばりどきです 

 「4万5千人集まったんだって。いまテレビでやっていたよ。すごいね」。帰宅するや、家人から言われました。きょう(14日)は仕事帰り、「日本の歴史の山場。一人でも」と、国会前での戦争法案反対行動に参加。燃え上がる熱気に直接触れ、自分自身、政治的にリフレッシュされるようでした。

みんな「安保法案反対」の同志
 夕刻、急ぎ足で電車に乗車。国会議事堂前のエスカレーターでは前の人の白いTシャツの背中に、「この国の宝は憲法9条です」。青い字体が鮮やかでした。
 国会の正門前に向かうと、大勢の人が同じように向かって歩いています。赤ちゃんを抱っこした若い母親も、会社帰りとみられるサラリーマンやOL風の人も、大きなヘッドホンを付けた若者も。創価学会の3色旗(青・黄・赤)を掲げた男性もいます。みんな「安保法案反対」の同志です。

命は地球よりも重い 
 集会が始まりました。政党代表の力強い挨拶が続きます。各界の発言ではノーベル賞作家の大江健三郎さんも登場。「最近の集会は若い人の顔が見られます。ここには民主主義の力があります」「憲法の精神に立ち戻るしかない。それしかない」。憲法に立脚する政治をとの切々たる訴えに、大きな拍手が湧き起こりました。
 3児の母親と自己紹介した西郷南海子さん(安保関連法案に反対するママの会)の挨拶も印象に残りました。「だれの子どもも、ころさせない」との合い言葉にふれて、「人の命は作り直すことはできない」「人間一人ひとりはかけがえのない命を持っている」。人間の命は地球よりも重いとの言葉を改めて思い起こしました。
 
新しい政治をめざす
 挨拶の合いまに、コーラーが叫びます。「戦争法案絶対反対」「9条壊すな」「安倍やめろ」。テンポよく繰り返され、たたかいの気分は否応なく高揚します。
 70年安保や沖縄返還のたたかいも、リズム感のあるシュプレヒコールや道いっぱいに手を結んで広がるフランスデモ等で盛り上がりました。平和と民主主義の運動、そして新しい政治をめざすたたかいは個々の場面では紆余曲折があっても、歴史的には確実に継承、発展していると改めて思います。

激励の声が届くように 
 帰途、国会前の歩道からは銀杏の匂いが漂います。いつの間にか秋がやってきています。地下鉄の入り口のそばで、初老の女性が一人ひとりに届くように激励の声を発していました。「お疲れさまでした。いよいよがんばりどきです」  (写真=国会正門前、9月14日午後6時44分)

2015年9月6日日曜日

酸味と甘みのバランスもよく 梨狩り

 きょう(6日)は朝から自治会行事の「梨狩り」が近所の梨園でありました。
 徒歩で参加すると、開始時間前なのに長蛇の列。家族連れなどでいっぱいです。並ぶと、ちょうど前に、夏祭りの反省会の隣席の方がいて、少しおしゃべりを。
 
 農家の「梨は引っ張らなくても、おしりを上にあげると、すぐ採れます」との説明後、梨園へ。たくさんの赤梨が低木に実り(写真)、どれを採るか迷うほどでした。
 
 帰宅後、ずっしりとした大玉を計量すると、516㌘。果肉はほのかな酸味とすっきりした甘みのバランスがよく、シャリシャリした食感やあふれるほど多い果汁も楽しみました。

2015年9月5日土曜日

時代遅れの戦争法案

米軍が日本を守っている?
 安倍晋三首相は4日、読売テレビの番組で戦争法案にふれて、「(米軍が)日本を守っているのに、日本は何もしないとなれば日米同盟は終わる」と発言しました。
 あたかも米軍が日本や平和の守り手であって、日本はこれまで傍観者でもあったかのように描かれていますが、これほど手前勝手な議論はありません。
 
米国の戦争の忠実な協力者
 だいたい米国は戦争と武力行使連続の歴史をもつ、「世界で一番危険な国」(藤井正希・群馬大学准教授)です。そして日本政府も日米安保条約=日米軍事同盟のもとで、絶えず米国の戦争の忠実な協力者として危険極まりない役割を果たしてきた張本人ではありませんか。 
 まず米国のベトナム戦争(1950年代から75年)。のちに米政府高官も証言した通り、米国のでっちあげによる侵略戦争でした。在日米軍基地は米軍の爆撃機が沖縄から飛び立つなど、その最前線基地として使用され、沖縄はベトナムの人民から「悪魔の島」と呼ばれました。
 2003年に米英軍が開始したイラク戦争も、大量破壊兵器の保有という虚偽情報にもとづく侵略戦争でした。10万人以上という罪のない市民が犠牲になるとともに、テロ組織がばっこする大きな要因になりました。世界でいち早く戦争支持を表明し、自衛隊をイラクに派兵した日本にも当然、相応の責任があります。しかし日本政府はいまなお自らの過ちを検証していません。
 同時に、この間の戦争をめぐる問題には特別重要な教訓があります。ベトナム戦争のさい日本の協力が在日米軍基地の使用にとどまったのも、イラク戦争のさい自衛隊を派兵したものの「非戦闘地域」での支援にとどまったのも、憲法9条の歯止めがあったからです。
 
実る外交による成果
 安倍首相にとってこの9条の輝く値打ちは、「日本は何もしない」と勝手に描き出しているように、打ち消したい対象にほかなりません。戦争法案の柱に、武力で米国を守る集団的自衛権の行使を持ち込んでいることはその端的な例です。
 しかしそれは戦争路線であり、国際社会の動向に照らすならば、「時代遅れの議論」(寺島実郎氏)そのものです。
 今日の世界はNATO(北大西洋条約機構)のような軍事同盟でさえ、国際的テロ組織ISへの対応にも示される通り、それぞれの国が主体的に考えて判断し、行動することが流れになっています。また、イランの核開発問題の解決に向けた同国と欧米などとの最終合意や、米国とキューバの国交正常化など、外交による成果も実っています。 
 安倍首相が成立を急ぐ戦争法案に未来がないことは明白です。いよいよ撤回か廃案しかありません。(写真=地域の戦争法案反対集会)

2015年8月28日金曜日

歌劇の曲が流れる洋食店

 駅前通りというのに、行き交う人は数えるほどです。でも、その洋食店にはサラリーマン風の男性や女性グループ、老夫婦などが次々やってきました。

 同店は半世紀も前、小学生の筆者が叔父に連れられ、生まれて初めて洋食を口にした店です。
 デミグラスソースのまろやかな味。「世の中にこんなおいしいものがあるのか」と驚いたものです。フォークやナイフの使い方を教わったのも同店でした。店のテレビについて、チャンネルはNHKだけと説明されたことも覚えています。
 そのごも訪れましたが、初めて入ったときの思い出が鮮明に記憶されています。

 創業96周年の同店。今回着いたときは開店前でしたが、「よろしければ、中でお待ちください」との案内で店内へ。造作は昔と変わらない洋風で、木の床にピアノが置かれ、歌劇の曲が流れていました(写真)。
 テーブルに並べられたフォークやナイフには店名が刻まれ、歴史を感じさせます。経営者の妻という接客の女性は、当方の思い出話に親切に応じつつ、前経営者について描かれた本も紹介してくれました。
 注文したランチのハンバーグは、スープ、野菜サラダ、ライス、コーヒーが付き、料金は格安でした。 
 故郷の懐かしい味。「子どものときの味覚は忘れない」とあらためて思いました。そして昨日は最寄りの図書館に、紹介された本をリクエストしました。

2015年8月13日木曜日

友人からの招待

 昨晩(12日)、友人から食事に招待されました。
 「我が輩の手料理を楽しみに来てください。昔より腕を上げていますよ」
 言葉に甘えて自宅を訪問すると、多彩な料理が次々とテーブルに。
 レタス等の生野菜サラダ、イタリアの三色旗(緑・白・赤)を模してきゅうり・チーズ・サーモンを周りに並べた鳥料理、薄切りの真鯛をたまねぎといっしょにオリーブ油などで和えた魚料理、枝豆をベースにしたスープ、からすみをふんだんに使ったパスタ、コーヒー。
 どれも美味で、腕前の上達にびっくり。時間を要したであろうその準備に思いを馳せながら、友人の温かい人柄に感謝の念を深めるばかりでした。



2015年8月10日月曜日

安倍安保許さず 燎原の火のごとく

 日曜の昼下がり、地域で安保法案反対の集会が開かれました。
 「9条の会」の呼びかけで、約250人が参加。長いつきあいのある友人、学童保育所の開設や運営をいっしょにとりくんだ知人、かつて特定政党支持の締め付け問題で議論し合った人なども足を運んでいました。
 市民団体などのあいさつは、それぞれの要求にふれながら、「憲法違反の戦争法案を許してはならない」「若者を戦場に送るな」と強調。共通して安倍内閣の暴走に対する厳しい批判が出されました。
 住んで40年余になる我が町。政治的な大衆集会が開かれるのは画期的なことです。「安倍安保許さず」の声が燎原の火のごとく広がっていることをあらためて実感しました。

2015年8月8日土曜日

核兵器輸送 その真相と矛盾

  唯一の被爆国である日本は「普通の国」ではない。安倍晋三首相にこの認識はないのでしょうか。
  首相は7日の衆院予算委員会で、自衛隊の核兵器輸送について、「120%あり得ない」と否定しつつ、安保法案で同輸送を禁止する必要はないとしました。
  核兵器の輸送をめぐっては、中谷元・防衛相が5日の参院特別委員会で「法律上は排除していない」と答弁しています。安倍首相は輸送などあり得ないと言い張るならば、安保法案に核兵器は輸送の対象外と明記すべきでしょう。

核を主軸に据えた日米同盟の強化
  それさえしないのはなぜか。首相は6日、広島市での記者会見で、今回の安保法案により「日米同盟が完全に機能する」と強弁しています。これまで日本政府が米国の「核の傘」に頼る安全保障政策を進めてきたことも明らかです。
  つまり安保法案により、日米軍事同盟は“核を主軸に据えた同盟”としてより強化される。これこそ今回の真相であり、国民の命や安全は一段と危うくなりかねません。
 実際、安倍政権は、米本土や米艦船を狙う弾道ミサイルを日本が撃ち落とすことも、憲法解釈上は認められると語っています。防衛網を突破しようとする周辺国が、安保法案を核戦力増強の口実に使う恐れさえ生まれているのです。

核兵器の法的禁止は国際的潮流
  6日、広島の平和宣言で松井一実市長は核兵器について、「非人道性の極み」「絶対悪」と断じました。筆者も広島の被爆者に会ったことがあります。被爆から30年、1975年のときです。語られるそのむごさ、残虐性に胸が締め付けられ、「核兵器は二度と使われてはならない」と強く思ったことをいまでも覚えています。
  核戦争反対・核兵器廃絶は国民的な願いです。また、核兵器使用を人道に反すると訴える共同声明(NPT〈核不拡散条約〉再検討会議、2015年4~5月)に159カ国が賛同するなど、核兵器の法的禁止は国際的な潮流です。
  こうした大道に背を向けて、安倍政権が好核の安保法案を進めるかぎり、その矛盾と行き詰まりはいっそう深まらざるを得ないでしょう。(写真=ひまわり、8月4日撮影)

2015年8月5日水曜日

自ら光を


 地元の花火大会に久しぶりに行きました。最初は単発の打ち上げでしたが、次第に大玉の連発へ。
 漆黒の空に開花する大輪。テレビなどで見る映像より色彩がずっと鮮やかです。自ら光りを放っているようで、生命力も感じました=写真=。
 

2015年8月1日土曜日

求めているのは米国同様のルール

 「グォーン」。耳に突き刺さる鈍い重低音。見上げた夏空に大型軍用機の姿がありました(写真)。7月31日の昼下がり、厚木基地(神奈川県大和市、綾瀬市)近くでの光景です。
 同基地の騒音訴訟で東京高裁は7月30日、一審(2014年5月)と同じく自衛隊機の深夜・早朝の飛行差し止めや被害賠償を命じました。将来分の損害賠償も認められるなど、前進面がありましたが、米軍機の飛行差し止めの訴えは一審に続き今回も却下されました。

200万人が住む人口密集地
 東京高裁は米軍機の飛行差し止めを退けた理由について、米軍の基地使用権は日米安保条約などに基づいており、日本側が一方的に条件変更できないと述べています。日米安保条約の対米従属性を浮き彫りにするとともに、およそ説得力のある判断とはいえません。
 第1に、厚木基地での騒音被害の最大の原因は、米軍機の飛行にあります。現に自衛隊機の飛行差し止めを命じた一審後も、騒音回数はほぼ変わっていません。筆者も自宅で米軍機のいまにも落下するかのような異常な騒音に見舞われたさい、最寄りの市役所に問い合わせると、「すごい音でしたね。ここでも聞こえました」と驚かれた経験があります。米軍機が飛んでいる限り、騒音被害はなくならないというのが同基地の実態です。
 第2に、同基地には昨年7月以降、米海兵隊の垂直離着陸輸送機オスプレイが飛来するようになり、これに伴い空中給油機など関連機の飛来も増えています。基地機能の強化とともに、部品落下や墜落等の危険が増しているのです。
 第3に、米国自身、自国の市街地で軍用機を飛ばすようなことはしていません。厚木基地の周辺は200万人余が住む人口密集地です。ここでの飛行差し止めの訴えは一方的どころか、米国同様のルールを求めるという対等の要求です。
 厚木基地周辺の住民は健康や安全な生活を渇望しています。司法も政府もこの人間的な願いに背を向けて、独立国とはいえない姿を見せ続けるならば、その行き詰まりを一段と深めざるを得ないでしょう。

2015年7月26日日曜日

子ども夏祭りで地域の絆

 自治会主催の「子ども夏祭り」に要員で参加しました。
 広場に用意されたのは、金魚すくい、ヨーヨー釣り、かき氷、綿飴、輪投げ、焼きそば、焼き鳥、ポップコーン、豚汁。開会と同時に子どもらが次々に詰めかけました。地域の子どもの数は一時期減っていましたが、ここ数年、住宅建設とともに増えています。
 私はテント張りなどの会場設営と交通整理を担当。就学前の子どもは帰り際、ヨーヨーをかざして「これ、おみやげ」と満足顔で、親からは「ありがとうございました」と、ねぎらいの言葉がありました。
 行列をつくる焼き鳥のコーナーに応援で入ると、要員同士の会話も弾みました。 
 強い日差しに顔も腕も焼け、後片付けでは腰を少し痛めましたが、地域での絆を強める一日になりました。

2015年7月20日月曜日

盛者必衰

  小学5年生の国語の教科書に平家物語の冒頭が紹介されています。
  「沙羅双樹(しゃらそうじゅ)の花の色、盛者必衰(じょうしゃひっすい)の理(ことわり)をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜(よ)の夢のごとし」
 沙羅双樹の花のすがたは、勢いのある盛んな者もいつかは衰えるという道理を示している。おごり高ぶる人も長くは続かず、ただ春の夜の夢のように、はかない。子どもたちにはこう教えることになっています。
 安倍内閣の支持率急落の報(「毎日」19日付35%、共同通信19日付37・7%、「朝日」20付37%)に接し、同文は安倍内閣にそのまま当てはまると思いました。
 
民意に背を向け、行き詰まる
  安倍内閣のおごりを国民の多くは常々感じてきました。
  福島原発の汚染水が大量に流失していても、「コントロールされている」と言い切る。
  米軍普天間基地の移設問題を巡り、移設反対派が各種選挙で勝っても一向に譲らない。
  安保法案で自身が国会に呼んだ学者が、意にそぐわないことを言うと、「学者は無責任だ」と、その責めを学者に負わす。
  支持率を気にしてか、新国立競技場の計画見直しに重い腰を上げたものの、わずか一週間前は首相自身、国会で「間に合わない」と否定する。
  民意に背を向けることが同内閣では常態化しています。国民主権など眼中にないといっても過言ではないでしょう。そのおごりと、日本の進歩的な未来を願う国民との矛盾は激化し、行き詰まりを深めているのです。おごれる「アベ政治」を許さないと、全体重をかけて立ち上がる若者や市民が ほうはいと広がっています。
  国民が納得しない安保法案の衆院での強引な採決を、「アベ政治」終えんの本格的な始まりにと思います。

2015年7月13日月曜日

「学学共闘」をうねりに

“若者が動くとき、世の中も動く”
 いま国会前では安保法案に反対する学生が大勢集結するとともに、駆けつけた学者による“野外講義”ともいえるスピーチが行われています。この姿に触発された憲法学者や若い母親、地方の若者らも、「憲法守れ」と新たな行動を起こしています。学生と学者との連携、すなわち「学学(ガクガク)共闘」の進展は、“若者が動くとき、世の中も動く”ことを痛感します。

年代を超えて切望
 評論家で「9条の会」の加藤周一さんは生前、老人と学生の結託・共闘を呼びかけていました。戦争放棄・戦力不保持の憲法9条の精神を国民各層に広げ、根付かせたいとの加藤さんの“執念”の表現であったと思います。
 アニメーション映画監督の高畑勲さんは2014年10月25日、特定秘密保護法に反対する学生の渋谷デモに夫婦で参加。加藤さんの呼びかけに呼応したことを明かしつつ、「若者の実行力に感心。ひろがりの可能性を感じ、うれしかった。民意を反映しない政権にNO!を」と、その手応えを記しています。
 安保法案反対の「学学共闘」の成立には、平和や民主主義を担う民主的な政権をという老若男女の切望がありました。

大きな希望
 学生は真理の探究を本分としています。学者には専門的な知見があります。筆者も学生時代、ベトナム戦争や沖縄返還の問題をゼミで討論したさい、担当教授のアドバイス的意見に鼓舞されたことを覚えています。
 「学学共闘」が「ビッグ・スウェル」(うねり)になるならば、安倍政権を一段と追い詰め、民主的な日本をきり開く推進力の一つになることは疑いありません。大きな希望が湧いてきます。

2015年7月11日土曜日

コーヒーミルをガリガリゴリゴリ

 コーヒー豆を手動で粉にする器具、コーヒーミルを使い始めました。
 アンティーク調のデザインが落ち着いた雰囲気を醸し出しています。コーヒーのおいしさや香りの点でも、すでに粉にしたコーヒー豆と、挽きたてとでは雲泥の差があります。
 加えて、ハンドルをゆっくり回し、ガリガリゴリゴリと豆を挽くこと自体、ほっとする時間です。
 コーヒーライフがミル一つ加わることで、これまでになく豊かになった感じがします。

2015年7月3日金曜日

心地よい時間 「ビートルズ特集」


 「ビートルズ特集」と題した音楽会に足を運びました。会場は地域の公民館で、演奏はアマチュアビッグバンド。会場いっぱいの220人が詰めかけ、多くが60代から70代の方々でした。
 
 英国のロックバンド・ビートルズは、1962年にレコードデビューし、70年に事実上解散。同時期に青春時代を過ごした人びとにとって、その音楽は数々の思い出とも響き合っています。
 
 ビッグバンドはサックスやトランペット、ボーカルなど約20人で構成し、結成から18年と経験が豊富です。レットイットビー、イエスタディ、ヘイ・ジュードなど、よく知られるビートルズナンバーを迫力十分に演奏。ボーカルの女性も情感を込めて熱唱しました。
 私も心地よい時間を過ごし、大満足でした。

2015年6月30日火曜日

日米安保やPKO法に国民的理解がある?

 世論調査で反対が賛成を上回る安保法案。安倍晋三首相は、1960年の日米安保条約改定や92年の国連平和維持活動(PKO)協力法も当初は反対が多かったが、「実施されるなかで国民の理解が広がった」と強弁しています(6月26日、衆院安保特別委員会)。安保法案を反対世論が多数でも強行的に成立させたいとの反国民的な思惑がにじみ出ています。併せて、首相が触れようとしない歴史的事実やそのごの展開に照らすと、発言の虚構ぶりが浮き彫りになります。

60年安保で総辞職した岸内閣
 まず60年安保問題。日本をアメリカのアジア侵略政策の前線基地にしようとする同問題には、国民の反対運動が空前の規模で広がりました。連日のように数万、十数万のデモや集会、ストライキが続き、反対署名も2千万を突破。当時の岸内閣は国民から孤立し、新安保条約批准の直後、総辞職せざるを得なかったのです。
 反対運動で育まれた革新的・民主的なエネルギーはそのご、革新自治体づくりやベトナム侵略戦争反対、沖縄返還、原水爆禁止、公害反対などの運動の発展に結びつきました。
 そして現在、日米安保条約の運用の代表例といえば、沖縄・辺野古での新基地建設計画です。これへの保守・革新の枠を超えた島ぐるみの反対運動が全国的支援を受けて展開され、各種選挙でも相次ぎ勝利を収めています。同計画に関わったカート・キャンベル前米国務次官補も、「このような反対意見が出ていることは、我々にとって立ち止まり、考えさせられる状況だ」(「朝日」6月20日付)と語り、見直しを示唆せざるを得なくなっています。

PKO(国連平和維持活動)法の犠牲者に「胸が詰まる」
 自衛隊員の海外派遣に道を開いたPKO協力法。そのごの経過をみると、安倍首相のような自慢は到底できません。
 1993年、カンボジアで停戦合意が維持されていると言われるなか、パトロール巡回中の文民警察官が身元不明の武装集団に襲われ、犠牲となりました。同法成立に宮沢内閣の官房長官として関わった河野洋平元自民党総裁は、現在もそのことにさいなまれていると告白し、安保法案の成立を急ぐ安倍首相に警告を発しています。
 「カンボジアにPKO派遣した高田晴行警視が、現地で撃たれて亡くなった。葬儀の場には若い夫人がいて、小さい子が駆け回っていた。政府の指示で派遣した人が死んだ。大変なショックだった。責任の重さを思い知り、今も胸が詰まる思いでいる。安倍首相にも、その重みを考えてほしい」(「週刊朝日」7月3日号)

 国民の反対を押し切って成立させた条約や法案は、国民から怨嗟(えんさ)の声を浴び続ける宿命にあります。米国など他国同士の戦争に参加する安保法案にあっては、そのことがいっそう明らかでしょう。(写真=戦争法案を廃案にと、3万人が国会を包囲した行動、6月24日)

2015年6月25日木曜日

コールの力強さは想像以上

 一度参加したかったといいます。
 国会議事堂を約3万人(主催者発表)がぐるりと取り囲んだ24日の安保法案反対行動=写真。所用で上京中、初めて参加した北海道の青年(36)に話を聞く機会がありました。
 驚いたのは、参加者の真剣な表情と訴え。「戦争する国ぜったい反対!」「安倍政権いますぐ退陣!」などのコールの力強さは想像以上だったといいます。
 青年自身、日本が攻撃もされていないのに、他国の戦争のために武力を使う安保法案の理不尽さにあきれています。対象になりかねない徴兵制の導入も不安です。最近は親しい友人に会うと、すすんで議論のテーマにします。

 国会包囲行動では、訴える声が国会周辺のどこにいてもスピーカーから聞こえました。炊き出しもありました。
 これまでにない刺激と連帯感を覚え、主催側の努力に心を揺さぶられた青年は、1000円札をカンパ箱に。
 「もし大金持ちになったら、多額のカンパをする先が見つかったのも、今回の収穫です」と言って明るく笑いました。

2015年6月24日水曜日

絵本『あなたこそ たからもの』と安保法案

 近刊の憲法の絵本『あなたこそ たからもの』(文・伊藤真、絵・垂石眞子、大月書店)を読みました。憲法を子どもに手渡すきっかけにというのが刊行理由ですが、国政の焦点である安保法案の違憲性をわかりやすく示す冊子でもあります。

立憲主義に背を向ける「安保環境」論
 安倍政権は、安保法案の根幹にあたる集団的自衛権行使の根拠に、安全保障環境の変化を持ち出しています。集団的自衛権とは日本が攻撃を受けていないのに、自国防衛と称して他国に武力行使することです。
 絵本は、こうした政府の主張に照らして、憲法にもとづく政治=立憲主義の意義を指摘します。
 「わたしたちが、えらんだだいひょうも、いつも、ただしいことをするとは、かぎらない。だから、ほんとうにたいせつなことをけんぽうに、書いておくことにしたんだ」
 まさに「安全保障環境の変化」なるものは政府の判断です。環境が変われば自衛権の範囲が広がったり狭まったりするというのでは、法の支配がなくなります。 
 従って絵本は「たいせつなこと」=平和のあり方について、こう説明します。
 「にっぽんはむかし、せかいのくにぐにとせんそうをしたんだよ。あいてのくにのひとを、たくさんころしたし、ひどいこともした。もちろん、にっぽんのひとたちも、たくさんしんだ。せんそうは、かってもまけても、ひとをころす。…だから、せんそうにまけたあと、けんぽうにかいた。『もうせんそうはしません。ぐんたいもいりません』」
 そうです。憲法は、軍事力で国民を守ることはできないとの反省に立って、戦争と武力行使を永久に放棄し、軍隊や交戦権を認めていません。日本は海外で武力行使するうえで必要な道具も憲法上の資格もない以上、集団的自衛権など、もともと行使できるわけがないのです。そして、その立場にたつ平和国家としての70年間の歩みは、世界から信頼を得る源になってきました。

戦争こそ最大の人権侵害
 絵本は憲法の値打ちについて、とりわけ「個人の尊重」(13条)に光をあてています。
 「ひとりひとりに、かけがえのない いのちとこころがある。ほかのだれともくらべられない。あなたは、せかいでたったひとりの、たいせつなそんざい。あなたこそ、たからもの。それをわすれないで」
 ここから浮き彫りになるのは、いのちや権利を根こそぎ奪う戦争こそ最大の人権侵害であるということです。
 「海外で戦争ができる国」をめざす安保法案。人間の尊厳を守るためにも、反対世論を広げることがいよいよ重要です。(写真=絵本『あなたこそ たからもの』)

2015年6月15日月曜日

歴史的な誤りを犯すな

 戦争にさらに近づこうというのでしょうか。科学兵器が発達する現代の戦争では勝者も敗者もなく、廃墟だけが残ります。恐ろしいことです。
 中谷元・防衛相は衆院の安全保障特別委員会(6月10日)で、集団的自衛権の行使を容認した憲法解釈について、安全保障環境がさらに変化すれば、再び変更する可能性があるとの認識を示しました。
 憲法より、自分たちの安全保障の考え方が上であると言わんばかりです。国家権力を抑制する憲法の立憲主義に背を向けて、集団的自衛権行使の範囲がいっそう拡大される懸念は否定できません。

狙いは米国の戦争にいつでもどこでも協力すること
 だいたい、「安全保障環境の変化」なる実態は何か。日本が攻撃を受けていないのに、他国の戦争に参戦する集団的自衛権の行使の理由に安倍政権はそれをあげていますが、中谷防衛相は「グローバルなパワーバランスの変化」(11日、参院外交防衛委員会)など抽象的な説明に終始しています。国民の生命や日本の存立を根本から脅かすことの証明などはまったくできません。日本が直接攻撃を受けていない状況だけに、それは当然といえば当然です。世界で集団的自衛権が行使された事例14件のほとんどが他国の領土で行われています。
 要は集団的自衛権ありきです。その行使を眼目とする戦争法案の真の狙いが、米国の戦争にいつでもどこでも軍事協力することにあるからです。

非人道的な弾薬の輸送に手を貸すことに
 実際、戦争法案は、米国の要求に従って自衛隊が弾薬の輸送・提供まで行うとしています。これまで政府も他国軍の武力行使と一体化するとして見送ってきた戦闘支援であり、非人道的で残虐な弾薬の輸送に手を貸すことになりかねません。
 2003年からのイラク戦争で米軍はクラスター爆弾やナパーム弾、白リン弾などを使用しました。イラク派兵訴訟弁護団の川口創・事務局長によれば、クラスター爆弾の地雷化した子爆弾によってイラクの多くの子どもらが命を落とし、破壊力抜群の焼夷弾であるナパーム弾で多くの民間人が焼殺。イラク中部のファルージャでは死亡者数が少なく見積もっても2080人と、イラク暫定政府から発表されています。
 集団的自衛権の行使とその拡大の危険性は、言葉に尽くせないものといっても過言ではないでしょう。

集団的自衛権の禁止は普遍的な到達点 
 そもそも日本国憲法9条1項は武力行使と戦争を永久に放棄しています。続く同2項は一切の戦力の保持と国の交戦権を否認しています。現憲法下、海外で戦争する集団的自衛権の行使は、解釈をどんなに変更しようとも不可能です。
 あの十五年戦争は「自存自衛」、日本が生きるために等の口実ですすめられました。この反省に立つ憲法前文が訴える通り、政府の行為による戦争の惨禍を二度と起こさないとの平和への決意は限りなく重いものがあります。集団的自衛権行使の否認は、時々の状況を超えて維持されるべき普遍的な到達点といえます。
 中谷氏は2013年8月の月刊誌の対談で、集団的自衛権についてできるとは言えないと述べつつ、「政治家として憲法解釈のテクニックでだましたくない」と語っていました。歴史的誤りを犯さないためにも、その“初心”に立ち戻るべきではないでしょうか。(写真=「平和」の字で彩られた花壇)

2015年6月1日月曜日

鮮烈なしその香り

 食料品店で買い求めた赤しそで、妻がジュースを作りました。
 しその葉は水洗いし、煮出すと、色素が落ちて緑色に変身。
 完成したジュースは透明感のあるルビー色です。効能は食欲増進や整腸作用などで、疲れも取れるといいます。
 試飲すると、鮮烈なしその香り。夏を乗り越えるジュースです。

2015年5月31日日曜日

夏を迎える前に

 きょうは自治会の清掃日。約30人が児童公園で「繁る前に」と、草取りに励みました。日差しが強く、終わる頃には汗でびっしょりに。最近家の近くに引っ越してきた方ともあいさつを交わす機会になりました。
 
 水田では田植えが始まりました(写真=31日6時24分)。水をたたえた田んぼに、苗が整然と植えられています。豊作を期待したいものです。
 
 隣家の軒先にツバメの巣が作られました。赤ちゃんが生まれ、親鳥が頻繁にエサを運んでいます。「チュチュチュ」とかわいい鳴き声がよく聞こえます。  
 いずれも夏を迎える前の行事・作業であり、出来事です。

2015年5月30日土曜日

問われる機雷掃海 陸上出荷の権益を取得した日本企業

 「どうしても機雷と言って駄々をこね」。安倍晋三首相の執着ぶりが朝日川柳(5月29日付)でも指摘された中東・ホルムズ海峡での機雷掃海。石油輸入に「死活的」と称しつつ、安保法案(戦争法案)の国会審議で押し出されています。他国を武力で守る集団的自衛権行使の事例として、本当に必要なのでしょうか。

エネルギーセキュリティに大きな効果
 中東のアラブ首長国連邦は、日本の原油輸入量でサウジアラビアに次いで二番目に多い国です。同国はホルムズ海峡を経ずに、原油をインド洋に面したフジャイラに送る陸上パイプラインを「国家戦略」として2012年から稼働させています。
 そしてこの1月、日本の国際石油開発帝石(株)は、同国の世界でも有数の巨大油田群からの石油を陸上パイプラインでフジャイラに出荷する権益を40年間の契約期間で取得。「我が国のエネルギーセキュリティ上の大きな効果が得られるもの」と、同社はその安定供給の国家的意義を誇っています。
 機雷掃海の必要性は現場に照らして厳しく問われているのです。

憲法9条と外交交渉で安全航行
 そもそも安全航行は憲法9条や外交交渉に徹することで確保できる課題です。
 タンカーでペルシャ湾から石油を日本に運んでいた外航船の元航海士、本望隆司さん(73)。1980年代のイラン・イラク戦争時、日本政府が海外で武力を行使しないとの憲法9条の立場でイランなどと交渉してタンカーを通してもらうことで、石油は途絶えなかったといいます(「東京」5月27日付)。

 集団的自衛権ありきで、機雷掃海を持ち出した戦争法案。その危険性や必要性が広く問われるなかで、「キライ」の声はいっそう広がらざるを得ないでしょう。

2015年5月24日日曜日

にぎやかな教室

 小学校の学習支援員Sさんの話です。

 子どもが急ぎ足でやってきました。参加は自由意思ですが、想像していたより多くの児童が放課後の教室に詰めかけ、一気ににぎやかに。基礎学力の定着を目的とする学習支援活動がスタートしました。
 円の面積の計算式について6年の男の子が質問。「良い質問だね」とほめると、笑顔を見せます。児童の横に座り、紙に計算式の根拠を記しながらサポート。名前を尋ねると、プロのサッカー選手の名前に似ています。そのことに触れると、地域のサッカークラブに入会していると語り、和やかな雰囲気に。
 サッカー少年は帰るさい、「こんどはいつあるの」と支援教室の次の開催日を聞きました。来てよかったと思ったのでしょうか。
 わかる喜びを感じてもらい、「勉強面白いね」との思いが少しでも広がればと思います。

 Sさんも手応えを感じているようです。(写真=苗代、5月24日朝)

2015年5月19日火曜日

「トースト」

 自動パン焼き器(ホームベーカリー)でパン作りを楽しんでいます(写真)。健康に良いというので、小麦をふすまや胚芽ごとひいた全粒粉入りにすることなども。
 学生の頃、通った喫茶店の名物は「トースト」でした。ジャムが添えられ、驚くほど厚く切られていました。ふっくらしていて、かぶりつくように食べたものです。
 いまはパンを「モチモチ感がある」「風味がある」などと評しながら口に運びます。厚切りにして食べると、一瞬、「トースト」が懐かしく思い出されます。

2015年5月17日日曜日

外交と国民的団結で平和を推進するのが日本のリーダー

犠牲者が出ることを事実上肯定
 本音が出たと思いました。安保法制=戦争法案についての記者会見(14日)で安倍晋三首相が、自衛隊はこれまでも危険な任務で1800人が殉職していると平然と述べたからです。戦争法案の行使で自衛隊員から犠牲者が出ても、“仕方がない。愛国心の表れだ”などとかわす底意が見えたのではないでしょうか。
 これまでも同首相は日米安保体制を強化するために自衛隊が“血を流す”ことを当然視してきました。自衛隊員の命の重さなどなんとも思っていないのではないでしょうか。

戦争法案で一気に増す戦死の危険
 今回の戦争法案では、日本が攻撃を受けていないのに、先制攻撃も辞さない米軍などを武力で守る集団的自衛権の行使を初めて容認しました。日本本土がテロ攻撃を受ける危険のほか、自衛隊員が戦死する危険が一気に高まっています。
 実際、これまで自衛隊の派遣先は「非戦闘地域」とされてきましたが、今度はその枠組みさえなくし、戦闘が予想される地域でも活動できるようにしました。武装集団から襲撃を受けている他国軍を、武器を使って支援する「駆け付け警護」まで認めています。
 駈け付け警護とは白兵戦(近距離での銃撃戦)を意味します。イラク戦争では同警護や民家の捜索などで米兵4000人が戦死。世界最強と言われる米海兵隊でさえ一番嫌がる作戦です(野田順康・西南学院大教授)。関東地方の陸上自衛隊員たちが戦争法案の駈け付け警護に、「ふざけんな!」(「東京」15日付)と口をそろえたのにも理由があるのです。

9条下では本来、戦死者は出ない
 戦争法案に対して日本国憲法9条は、武力行使も戦争も戦力も放棄し、他国と穏やかに話し合って仲良くすることを決めています。こうした平和の立場はけっして日本だけのものではありません。1976年締結の東南アジア友好協力条約(TAC)は武力行使の放棄や紛争の平和的解決などを掲げ、すでに57カ国、世界人口の72%が参加する平和の流れに成長しています。
 日本の政府も長年、憲法9条に縛られ、日本が攻められたときだけ反撃する「専守防衛」を掲げてきました。当然、自衛隊も、見も知らぬ外国へ行って殺し殺されるのは仕事ではありませんでした。現に自衛隊は戦後70年間、一人も殺さず、一人の戦死者も出していません。「9条で一番守られているのは自衛隊員」と言われてきたことにも根拠があります。
 しかし9条を徹頭徹尾敵視し、海外で戦争ができる国に突き進む安倍首相。「個人の名誉心でやっている」(山崎拓・元自民党副総裁、『週刊朝日』3月6日号)と指摘される通り、国民的団結で平和をめざす立場とも無縁です。日本のリーダーにもっともふさわしくない人物であることが改めて示されています。

2015年5月13日水曜日

台風一過 広がる青空


 昨晩は台風6号から変わった低気圧で強い雨が降りましたが、きょう13日は晴天が広がりました。気温も朝から上昇。夏の気配となりました。(写真=真っ青な空と白い雲、13日7時9分)

2015年5月12日火曜日

「安保環境悪化」論は戦争への道

集団的自衛権行使の最大の理由だが…
 安倍晋三政権は、米国などを武力で守る集団的自衛権行使が眼目の安保法制を今国会で成立させようとしています。その最大の理由は、「日本の安全保障環境の悪化に対応するため」と説明されています。日本を取り巻く軍事情勢が悪化したからという、一見もっともらしい理屈です。
 しかし実態は、日本が攻撃を受けていないのに、海外で米国などとともに武力行使ができるという憲法違反の道です。

特異な政治信念の押し付け
 まず、「安保環境悪化」なる説と集団的自衛権を結びつける議論は、すでに第一次安倍内閣時(2006~07)に述べられていました。しかし、そのごの内閣(福田康夫、麻生太郎、鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦)では同議論は唱えられていません。それが再び安倍内閣(2012年)ができると、また出てきた。しかも国民世論はといえば、いかなる調査でも集団的自衛権をいますぐ必要だとする意見が多数を占めたことは皆無です。
 つまり安倍内閣の集団的自衛権行使論は、情勢や世論からではなく、特異な政治信念や情念から発しています。その端的な内容は、安倍氏が2004年に出版した『この国を守る決意』(扶桑社)に記されています。
 「軍事同盟は血の同盟。…しかし、今の憲法解釈では日本の自衛隊はアメリカが攻撃されたときに血を流すことはない。…それでは完全なイコールパートナーとは言えない」
 要するに、米国のために自衛隊が血を流してこそ、同国と対等平等になれると訴えているのです。ここでは血を流すことが自衛隊員の命が失われることをも意味します。安倍氏には、戦地に送られる自衛隊員一人ひとりに親も家族もいると、もっと想像力は働かないのでしょうか。
 中野晃一上智大学教授はこうした安倍氏の政治信念の背景に、「アメリカのパワーエリート(軍事力を信奉する指導層)に対等に扱ってもらいたいというコンプレックスがある」と、“個人的事情”の存在も指摘しています。
 その挙句、日本の主権や独立に背を向けて、人間の尊厳もじゅうりんするというのは、けっして許されません。

米国と共同し、生じるのは侵略戦争の危険
 安倍内閣の「安保環境悪化」論の主要な矛先の一つは、中国です。同首相は先の訪米中も、日米が共同で戦争を行うための新指針=新ガイドラインを踏まえて、「中国による南シナ海、東シナ海の活動にしっかり対応していく」(4月30日、日本テレビで)と、中国の国名と活動地域を挙げる踏み込んだ発言を繰り返しました。南シナ海等で米軍に協力して警戒監視活動などを行う意向を示したのです。
 南シナ海は海洋進出を強める中国が周辺諸国と摩擦を起こしている地域です。首相は米国とともに、中国とパワーゲームで渡り合いたいというのでしょうか。
 ここで見落としてならないのは、米国との共同作戦が侵略戦争の危険を強める道だということです。
 米国は2003年に違法な先制攻撃のイラク戦争を起こしました。その口実は、「大量破壊兵器を保有し、世界の安全保障環境を脅かしている」。安倍内閣の安保法制の理由と似た主張です。
 この戦争ではイラクだけで100万の命が失われた(核戦争防止国際医師会議『ボディー・カウント』)といわれていますが、大量破壊兵器は米軍の捜索でも発見されず、CIA(米中央情報局)の情報に誤りがあったことが明らかになっています。ブッシュ米大統領は退任直前のインタビューで「私の政権の期間中、最も遺憾だったのが、イラクの大量破壊兵器に関する情報活動の失敗だった」と自己批判せざるを得ませんでした。イラク戦争は不正義の侵略戦争にほかならなかったのです。
 にもかかわらず日本の当時の小泉政権は、「アメリカの武力攻撃を理解し、支持します」と公言し、航空自衛隊をクウェートなどに、陸上自衛隊をイラウ・サマワに派遣。大量破壊兵器に関わる米情報が誤りであったことが明らかになっても、そのごの自民党政権も含めて、米側に抗議を行っていないばかりか、戦争協力の責任も取ろうとはしていません。
 こうした侵略戦争を繰り返す米国と、それに追従し不誠実な態度を取り続ける自民党政権による共同作戦が、どうして日本の国益や世界の安全に適うものになるのでしょうか。
 なお、中国とは尖閣諸島をめぐる議論もありますが、仮に「占有」等を起こしたならば、それは戦後70年、憲法9条のもとで他国を侵略しない平和国家として歩み続けてきた日本への侵攻として、世界から強い非難を浴びることは必至というものでしょう。

戦争は国民生活すべてを犠牲に
 最近読んだシナリオライター・山田太一さんのエッセイ集『月日の残像』(新潮社)に、15年戦争当時、浅草の自宅(食堂)が空襲の延焼をくい止める空地にとの国の方針で、取り壊されたことが記されています。
 「立ち退き先を用意してくれるわけでもない。店が惜しいなんていったって、それがどうした、戦争をしているんだぞ、である」
 戦争のもとでは国民生活すべてが強権的に犠牲にされることが示されています。暗黒時代を二度と繰り返してはなりません。安倍政権の安保法制と称する「戦争立法」にストップをかけたいと思います。

2015年5月8日金曜日

昔懐かしいシュークリーム

 子どものときに食べたシュークリーム。「シュー」は焼き上がった姿からフランス語でキャベツを意味するといいます。
 最寄りの駅前のケーキ屋でも「昔懐かしい」と題して売られています(写真)。
 たっぷり詰められたカスタードクリームの甘さは質が高く、サクッと軽やかな食感の皮とともに、豊かな気分にしてくれます。手間がかかっているはずですが、手頃な値段です。
 店主のがんばりを応援したいと思います。

2015年5月6日水曜日

パークゴルフ 子どもも若い人も

 公園に行ったときのことです。一角にパークゴルフ場がありました。子どもも若い人も高齢者も利用し、笑顔で興じていました。
 パークゴルフとは、ミニゴルフの一種で、ボールをより少ない打数でカップ(直径20㌢)に入れるスポーツです。1983年に北海道幕別町で公園の有効活用として考案されたそうです。
 
 用具は貸してくれるというので、私も挑戦することに。力いっぱいボールを打つと、遠くに飛んだもののコースから外れて芝生の中に入ってしまい、スコアが2打加算となりました。
 
 結局、標準打数(パー)を大きく上回る散々な結果でしたが、ボールをカップに入れた際の「カーン」という響きは“達成感”のせいか、心地よいものでした。コースの芝生はふかふかで、歩くと気持ちがよく、これも気分転換になりそうです。
 パークゴルフは田舎の父親もやっていました。帰省したさい、ゴルフ談義ができそうです。

2015年5月5日火曜日

安保法制の「後方支援」 いかに危険か

それは、戦争ができる国への道を進みつつも、日本国憲法を気にしなければならないという奇妙な光景でした。
 3日放送のNHK番組で、安倍政権が狙う安全保障法制について討論されたさいのことです。自民党の高村正彦副総裁ら与党が米軍などを「後方支援」する活動について、海外での武力行使を禁じる日本国憲法9条にふれつつ、武力行使と一体化するものではないと繰り返したからです。
  「武力行使ができないという、国際的に非常に珍しい憲法を持っているなかで、武力行使と一体となった活動はできない」(高村氏)
 しかしこの言明通りならば、今回の安保法制は成り立たないはずです。

戦闘現場で支援活動 
 なぜなら安保法制の他国支援にはこれまでとは違う問題が二つあり、いずれも米軍などの武力行使と一体化せざるを得ません。
 一つは自衛隊の活動地域の制約が外されていることです。これまでは支援活動が武力行使と結びつかないように、「非戦闘地域」に限ると設定されてきました。
 今回はこの枠組みが撤廃され、自衛隊が幅支広い支援活動をできるようにと、新たに「現に戦闘行為が行われている現場では実施しない」に変えられています。つまり、戦闘が現瞬間行われていなければ、戦闘現場でも支援活動が可能になったことを意味します。
 これは極めて危険なことです。自爆テロや仕掛け爆弾が飛び交う現在、戦闘が瞬間的に行われていなくても、いつでも戦闘現場になりうるからです。

武器・弾薬の輸送も
 もう一つは支援内容が拡大していることです。自衛隊はこれまで海外で施設復旧などの支援に参加してきましたが、昨年7月の閣議決定によれば、新たに「補給、輸送など」の実施が明記され、武器・弾薬・食糧の補給や輸送なども可能とされているのです。
 これらはいずれも米軍等の武力行使を支える活動にほかなりません。その結果、「(相手側にとっては)弾薬を輸送する部隊を攻撃する方が、戦闘部隊への補給路を断つため、はるかに効果的な作戦となる」(柳澤協二・元内閣官房副長官補)のです。
 安保法制では自衛隊が支援活動中、攻撃を受ける場合は支援活動を「休止し又は避難する」としていますが、そのような行動をとれば、前線の部隊は弾薬や食糧、燃料が切れてしまい、崩壊しかねません。「友軍から見れば寝返り同前の行為」(軍事ジャーナリストの田岡俊次さん)との指摘もあります。応戦せざるを得ないというのが、戦場での実際の展開というものです。

ドイツの教訓
 ドイツはアフガニスタンに復興支援など「後方支援」に限定した派兵をおこないましたが、毎日のように戦闘に巻き込まれ、計55人の犠牲者を出しています。
 日本でも集団的自衛権行使で米軍の「後方支援」に派兵されるならば、今回の安保法制の実態からもその武力行使と一体化し、同じような危険に直面しかねません。
 安保法制に反対する世論と運動をいっそう広げたいと思います。(写真=青空のもと、鯉のぼりの連凧がおこなわれていました。5月3日)

2015年5月1日金曜日

食卓の楽しさ

 久しぶりにたこ焼きをしました。
 焼き器を囲むと、にぎやかです。
 「なかなか丸くならないね」
 「焦らないことだよ」
 「関西の出身者なら、上手だろうね」
 「これ、どう?」
 「丸い、丸い。焼き具合いもいいよ」
 食卓の楽しさって、こういうことかなと思いました。

2015年4月29日水曜日

新ガイドライン 集団的自衛権の巨大な害悪浮き彫りに

日本の機雷掃海は先制攻撃
 日米両政府が改定した「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)。長文の分かりづらい文書ですが、最大の特徴は、自衛隊が他国の戦争に参戦する集団的自衛権の行使が初めて明記されたことです。
 その具体的な事例の一つは機雷掃海です。想定されているのはイランがオマーン領海にあるホルムズ海峡を機雷封鎖するという事態。安倍首相によれば、輸入原油の8割が通る同海峡の封鎖は「日本の存立を脅かす」行動であるため、武力行使の要件に合致するといいます。
 しかし、ここで留意したいことは、日本がイランから武力攻撃を受けているわけではないことです。停戦前の日本の掃海作戦はイランに対する先制攻撃に相当します。
 加えて米国自身、ことし2月6日の「国家安全保障戦略」で「必要なら一方的に軍事力を行使する」と述べた通り、先制攻撃の戦略を保持し続けている国です。
 新ガイドラインに基づいて米国と共同する掃海作戦が、日本に火の粉を呼び寄せる危険を高めることは必至というものです。

「殺す・殺される」戦場に
 国際紛争のさい、日本政府は本来、武力行使や戦争を放棄する日本国憲法9条にもとづき、外交交渉による事態打開などを探究すべきです。
 しかし、米国のイラク侵略戦争のさいも政府は、航空自衛隊をクウェートなどに、陸上自衛隊をイラク・サマワにそれぞれ派遣し、加担してきました。
 その結果、イラクから帰国後に自殺した自衛隊員は29人(15年2月末現在)に及びます。ストレス障害に苦しむ隊員も少なくありません。集団的自衛権が禁じられ、自衛隊の活動地域が「非戦闘地域」に限定されていたにもかかわらずです。
 新ガイドラインの下では集団的自衛権が行使され、「非戦闘地域」の枠組みも撤廃されます。自衛隊員は、自国防衛ならともかく、日本が攻撃されていないのに遠い国(ホルムズ海峡でいえば、日本から約1万1千㌔、地球4分の1周分離れている)に派遣されたうえ、「殺す・殺される」危険が極めて高い戦場に送り込まれることになります。その目的を探すことや自らの生命を守ることがどれだけ難しいことか。ここにも集団的自衛権行使の巨大な害悪や危険性が如実に示されています。

学習会や署名、対話等、列島の隅々に
 集団的自衛権の行使、および新ガイドラインの法的根拠となるのが、連休後に国会で審議される「戦争立法」です。同立法を許さないための学習会や署名、集会、街頭演説、対話・ネット活動など、あらゆるとりくみを列島の隅々に広げたいものです。(写真=団地の植え込みで、4月29日)